タワー・オブ・パワーというサンフランシスコのファンク・バンドがいる。ヒューイ・ルイスのバックなども務めた実力派であるが、恥ずかしながら私は1枚もアルバムを聴いたことがない。
だが、日本の歌謡曲を通してなら、聞いたことがある。
日本のミュージシャンの録音のバックの演奏を務めたことがあるのだ。
一番有名なのは、何度再評価されたか分からない、かまやつひろしの「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」だろう。
アナログな時代 番外編 ゴロワーズを吸ったことがあるかい (1975)
どクールなファンクナンバー。最後の方でオルガンがわざと外した音出すのが好き。スリリングだ。
A面が90万枚売り上げた「我が良き友よ」なので、B面も当時かなりの人が耳にしたと思うが、この曲が評価されだしたのは発売から20年も経ってから。渋谷系の文脈で評価された。
かまやつひろしの著書「ムッシュ!」には当時のことがこう書かれている。
たまたま、サンフランシスコのベイエリアのバンド、タワー・オヴ(原文ママ)・パワーが来日していたので、バックをやってもらえないかと、”ダメもと”で打診してみた。タワー・オヴ・パワーというのは管楽器を中心にしたファンクなバンドで、個人的に大好きだった。子どものように、ただひたすら一緒にやってみたかったのである。そうしたら、意外にもすんなりオーケーの返事がきて、ちょっとあわてた。まだ曲ができていなかったのだ。
曲もないのにオファーしたかまやつひろしも強心臓。日本語とファンクの相性の悪さ(良くも悪くもドリフ的、になってしまう)を、「語り」にすることで解消したかまやつひろしは本当にすごい。
お次。RCサクセションの「ファンからの贈り物」。。。と行きたいところだが、YOUTUBEにオリジナル録音の視聴可能なものが無かった。残念。
この曲が収録された「シングル・マン」というアルバムがお蔵入りになり、日の目を見るまで何年もかかった経緯は、不運というか、バンドに立ちふさがる「売れるもの」と「やりたいこと」の違いに苦悩する純粋な若者が浮かぶ。「やりたいこと」を貫徹するのは難しい。会社からお金出してもらってるんだから。
元々ガレージ・サイケな音を出していたモップスの星勝がアレンジャーだったのに、いかにも整然とした音にしてしまったのが忌野清志郎は気に入らなかった、というエピソードが興味を引く。
シングル・マン (RCサクセションのアルバム) - Wikipedia
お次。朱里エイコ。和製レアグルーヴの最高峰。「AH SO!」。
ラスベガスのステージに立ち、エンターテイメントのセンスを磨いていた朱里エイコ。この録音の三味線は本人による演奏だとか。もし生でこんな音聞かされたらおしっこちびる。
ポロポロと機械的に動くベースが気持ちいいし、ドラムのキック音もパタパタと小気味良い。ブラスは派手だし、黙って踊る以外の選択肢が見つからん名曲だ。
と、ここまでの予定だったが、Wikipediaで調べたら、中村あゆみのアルバムにも参加しているとのこと。なんとまあ、翼の折れた俺。
こちらの曲もYOUTUBEに貼り付け可能なのがなかったので、リンクで。
いきなり1987年に飛ぶと、耳と頭が混乱してしまいそうになるが、ヒューイ・ルイスのバックバンドをしているだけあって、あの頃のアメリカのゴージャスな音がする。嫌いじゃない。フルハウスのオープニング見てるみたいな感覚。
最後に、私も初めて聴くタワー・オブ・パワーのオリジナルを。
Tower of Power - What Is Hip - 1973
かっちょいい〜。泥臭そうなファンクやっているのにあまり泥臭さを感じない。演奏がうますぎなのかな?
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