ヴァン・マッコイが1975年にリリースした「ハッスル」は、全世界で1千万枚以上売り上げ、ディスコ・ブームのきっかけになった。
ピッコロの音がさわやかなインストゥメンタル・ナンバー。時折挟み込まれる「ドゥ・ザ・ハッスル!」という合いの手が気持ち良く、フロアが一体感に包まれるキラー・チューンである。
テレビでもたまにBGMでかかるので、ほとんどの人が耳にしたナンバーだろう。
そんなハッスルにもろに影響を受けて、それを隠しきれない曲というのが国内にはいくつか存在するので、今回はドゥ・ザ・ハッスル歌謡をご紹介。
27歳で病没した美しい女優、夏目雅子は一枚だけシングル曲を出している。カネボウ化粧品のキャンペーン・ガールとして歌った「Oh!クッキーフェイス」だ。
このカネボウ化粧品のCMがきっかけで夏目雅子はブレイクするのだが、その時のCMディレクターがのちに夫となる伊集院静である。
oh!クッキーフェイス 夏目雅子 シングルレコードを取り込み
ヴァン・マッコイの「ハッスル」より随分テンポが早いが、ピッコロが吹くメロディが見事にハッスルしている曲だ。あどけない夏目雅子の歌声も良い。
実はこの曲は、ティナ・チャールズというイギリスの歌手が歌った曲を訳したもの。CMで流れたのはこちらの方。
作曲は佐藤健となっているから、国産である事は確かだろう。ちなみに佐藤健の奥さんは大橋純子である。
1977年リリースであるから、ヴァン・マッコイの「ハッスル」から2年のタイムラグがある。
「Oh!クッキーフェイス」の裏ジャケには、「みんなで踊ろうクッキー・ステップ」と題されたダンス・ステップの紹介がある。隅には小さく<ダンス・クリエイター>Nick Okaiのクレジット。クック・ニック・アンド・チャッキーのニック岡井ではないか。さすが日本のソウル・ブラザー。
世代的に、夏目雅子のご尊顔を拝していると、ドラマの「西遊記」が観たいという気持ちがムラムラ湧き上がってくる。
お次。こちらは筒美京平が作曲と編曲を担当している。流行の洋楽を貪欲に取り込み、ドメスティックな形にうまく変換、消化してリリースする作曲のお化けである。
岩崎宏美の「ロマンス」。1975年7月リリースであるから、相当早い。ヴァン・マッコイの「ハッスル」がシングルでリリースされたのが、同年4月である。
筒美京平のすごいところは、もろにパクるのではなく、隠し味程度に抑えてあるところで、「ロマンス」では、間奏(動画では2分19秒くらい)のところで、ピッコロではなくストリングスで「ハッスル」のフレーズを入れ込んでいるのだが、コードをマイナー調にして、進行も全く違うものにしている。おまけに女性コーラスがメインのメロディで、「ハッスル」のメロディはカウンターメロディーとなっており、この辺りに筒美京平のうまさ、というか凄みを感じさせる。
ヒロリンのディスコ曲は本当に傑作が多く、この「ロマンス」のB面の「私たち」もかなりのフィラデルフィア具合である。
全曲を筒美京平が作曲したディスコ・クイーンなアルバム、「パンドラの小箱」は必聴盤だと思う。
最後、ドリフターズ。ドリフもかなり黒人音楽を取り入れており、志村けんがソウル好きなことも影響しているのだろうと思われる。
この「ドリフのバイのバイのバイ」から志村けんがシングル曲に参加するようになるのだが、いきなりの志村のシャウトに度肝を抜かれる。演奏もかなりファンキー。かっこいいぞ。
もう、冒頭から「ドゥ・ザ・ハッスル」だ。いや、これは「ドゥ・ザ・八双」と言っているのだ、と何かで読んだ覚えがあるが、これは記憶が確かでない。
曲調はディスコではなく、掛け声だけが「ハッスル」なのだが、ヴァン・マッコイからの影響は確信的だろう。ハッスル歌謡認定。
以上、ハッスル歌謡を3つご紹介した。では、バイのバイのバイ。
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