銀河の逃避行

今、万感の思いを乗せて汽車が行く

映画「緋牡丹博徒」シリーズの面白さ、そして藤純子が歌う主題歌。

映画「緋牡丹博徒」にはまっていた時期があった。

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藤純子/緋牡丹博徒 作詞作曲 渡辺岳夫 編曲 薊けいじ

 

藤純子富司純子)演じるお竜があまりにも美しくてかっこよく、メロメロになってしまったのである。

 

藤純子の顔立ちは上戸彩に少し似ている気がする。上戸彩のスタイルを良くしたら藤純子になる、と言ったら上戸彩ファンから怒られるかもしれないけど。

 

セリフも痺れる。熊本出身の俠客という設定なので、熊本弁で啖呵を切ったりするが、それがいちいちかっこよい。

 

「(背中の緋牡丹の刺青を見せて)見ておくんなさい、女だてらにこぎゃんもんば背負って生きとっとです」

だの、

「女の小細工で、命を落としたとあっちゃあ、一家の面目は丸つぶれですばい」

だの、おまけに

「死んでもらいますばい」

だの言われたら、私は「はい!死にます!」と手近な崖を探しに行くだろう。

 

 

スピンオフを含めなければ全8作のシリーズで、作品ごとに鶴田浩二高倉健などの大スターが贅沢にも出演して脇を固めている。

 

あと、書き割りのセットが異常に綺麗なのも注目する点かもしれない。当時の美術スタッフの技術の高さが分かる。いかにもスタジオでセットを組んで撮影しました、というのが丸わかりなのだが、背景が書き割りなのに、あまりに美しくて、見とれてしまう。これは歌舞伎のような様式美の世界なのかもしれない。

 

シリーズのどの作品も、最後には藤純子が義理人情の筋が通らぬ悪党どもの住処に討ち入って、大立ち回りをしてクライマックス、というあらすじである。

時代劇でもそうだが、ちょっとした一悶着から、調べを入れたら巨悪が発覚して、最後には敵味方入り乱れての殺陣があって、懲らしめられた敵は反省し、よかった、よかった、という大体のあらすじが分かっていても、いやそういう約束事があるからこそ安心して面白く鑑賞できる、というのはあるのだ。つっこみを入れる方が野暮ってもんだ。

 

で、クライマックス前、藤純子がいざ討ち入る、という場面で、すっと背中の伸びた着物姿でドスを持って颯爽と歩いて悪党どもの住処に向かうシーンが挿入される。

 

これまた息が止まるほどかっこいいのだが、このシーンのバックで主題歌が流れる。

 

きりっと顔を決めた藤純子。流れる主題歌は彼女自身が歌ったものだ。お聴きいただきたい。


藤純子/緋牡丹博徒

 

 

ズコーッ!

 

となる。あれだけ美人で、覚悟の表情もしっかり作って颯爽と歩く藤純子、しかし歌が下手すぎる。

 

このちぐはぐさには映画を見ながら思わず笑ってしまったが、後になって考えると美人なのに音痴、というのはとても愛嬌があって、萌えポイントが高いのでは、と思うようになった。しずかちゃんの下手くそなバイオリン、みたいな。

 

シリーズを追うごとに藤純子の歌唱が、特訓したのか、と思うほど聞けるものになっていくが、それが少し寂しくもある。ザ・シャッグスのような感じだ。上手くなるとつまんなくなる。

 


The Shaggs ~ Philosophy of the World (full album 1969)

 

この「緋牡丹博徒」の曲の作詞・作曲者は誰あろう、渡辺岳夫その人である。「巨人の星」「キューティーハニー」「天才バカボン」…数え上げればキリがないほどの名曲を残した巨匠である。

 

緋牡丹博徒、本当に素晴らしい映画なのでおすすめしたい。藤純子の主題歌もきっと好きになる瞬間が来る、と思う。

 

 

 

 

www.ruth-etting.com

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