銀河の逃避行

今、万感の思いを乗せて汽車が行く

石川秀美/Sea Loves You〜キッスで殺して〜 さわやかさに隠された倒錯世界

石川秀美はシブがき隊のヤックンとの結婚を機に引退した歌手、もしくは花の82年組として記憶されている方も多いと思う。

 

私もその印象しかなくて、後になって昭和歌謡が好きになり、レコードを掘りはじめてから彼女のことを調べたりした。

 

お茶の間レベルまで浸透した大ヒット曲は残念ながらないが、「ゆ・れ・て湘南」など佳曲も多いし、今回とりあげる「Sea Loves You」も、爽やかな夏ナンバーである。

 

f:id:ruthetting:20200103181622j:plain

石川秀美/Sea Loves You〜キッスで殺して〜 作曲 小田裕一郎 作詞 売野雅勇 編曲 船山基紀

 

繰り返すが、私は後追い世代なので、当時の人気がどれほどのものか、文献や映像から想像するしかないのだが、映像を見ると

 


1984-1989 石川秀美CM集

 

か、可愛い………!

そしてシャービック美味しそう…!

 

これは人気が出る。

 

Wikipediaには苦しそうに一生懸命歌うのが魅力、との記述があったけど、

 


石川秀美 「Sea Loves You」

 

この映像を見る限りでは、楽々高音も出てるし、楽しそうに歌ってて、そして、

 

 

か、可愛い…!

 

 

作曲の小田裕一郎は、まあなんといっても松田聖子裸足の季節」「青い珊瑚礁」「風は秋色」を作っていて、サマーブリージンな名曲が多い。「Sea Loves You」も潮の香りが心地よく吹き抜ける良曲だ。

 

ジャケットを確認すると、<海の日>イメージソング、とある。海の日って、最近制定された祝日ではないのか?

 

と思ったら、平成7年制定…。最近って。

 

いや、それでもおかしいな。「Sea Loves You」は昭和60年リリースなので。これは謎。

 

 

作詞家の売野雅勇は、中森明菜「1/2の神話」「少女A」など、ショッキングでスキャンダラスな作品が代表作であるが、それで納得がいった。

 

一聴してさわやかな海ソングなのだが、歌詞の内容は

f:id:ruthetting:20200103183520j:plain

年下の男の子にぐいぐい迫る女の歌

 

 

年上の女性の魅力をフルコンボ年下の男の子にぶつけまくる。暴力的なほどだ。

 

「キッスで殺して」

「好きなのと言わせてごらん」

「年下でしょ 無理しないで 言うこときくのよ」

 

などと、ちょっとぐいぐいがすぎるのでは。

 

あげく、

 

「可愛いわ Sweet cherry boy

 

とのたまう。

 

言うこときけと恫喝したり、チェリーとさげずんだり、ラジバンダリ

 

SM的な性倒錯の世界観なのであろうか。

 

さっきあげた夜ヒットのyoutubeには残念ながらはいっていないが、レコード音源では曲のアウトロで、秀美と女性コーラスで一緒になって「チェリーボーイ♪チェリーボーイ♪」と歌われるのである。

 

 

女性が集団で、年幾ばくもない男の子に向かって「チェリー」を連呼するのを想像して、

さらに深くて複雑な性倒錯の世界観かもしれない、と思ったのであった。

 

 

 

 

www.ruth-etting.com