LGBTQの方々との付き合いはないが、常々、才能に恵まれた人が多いなあ、と感じる。
音楽界だけ見回しても、フレディー・マーキュリーしかり、エルトン・ジョンしかり、槇原敬之しかり、だ。
まあ、LGBTQだから才能がある、ということは必ずしも言えないかもしれないけど、やはり自分の内面と向き合うことが多いだろうから、繊細な心の裡を表現する、ということに長けて行くだろうし、抑圧や蔑視の眼差しを跳ね除けようと人一倍自分の才能に磨きをかける、ということもあるかもしれない。
日本にも芸能に秀でたLGBTQのレコードはたくさんある。今回はいくつかご紹介。
「薔薇門」というレコードがある。1972年リリースのレコードでかなりのプレミアが付いていてとても手が出ないほど高い。
寺山修司と「伝説のおかま」、東郷健が企画したレコードで、音楽をJ・A・シーザー、クニ河内とハプニングスフォー、山谷初男らが担当した。
東郷健の演説あり、おかま同士のワイ談あり、ひたすら陽気な「天国と地獄」の歌唱あり、とハチャメチャな内容なのだが、ゲイ・レボリューションを起こして社会を変革しようとする底知れぬパワーがあるアルバム。
当時の空気感が真空パックみたいに詰めこまれていて、聞くとあまりの濃密さに眩暈を起こしそうになるが、そんな中にひっそりとしたこの曲「健さん愛してる」がある。
健さんとは高倉健の事。任侠映画であれだけまばゆい漢を見せる健さん、ゲイからの人気も高かったろう。
一人のおかまが歌う(クレジットは「明日香」となっている)健さんへの憧れ。なんだかとても沁みるのだ。
Tokyo Kid Brothers - I Love You, Ken-san (1971) 東京キッドブラザース - 健さん愛してる
池畑慎之介(ピーター)。映画「薔薇の葬列」でセンセーショナルな俳優デビュー。歌手としては、デビュー曲の「夜と朝のあいだに」がいきなり大ヒットする。
「夜と朝のあいだに」 ピーター(池畑 慎之介 / 当時19歳)
イントロはアンニュイだけど洒落た雰囲気。少しジャズの雰囲気が香る。かっこいいよね、この曲。作詞はなかにし礼、作曲は村井邦彦、編曲は馬飼野康二。
デビュー前は「六本木の赤松愛」と呼ばれていたらしい。赤松愛はGSのオックスのキーボーディストで、中性的なルックスから女性人気がすごかった。
確かに綺麗な顔立ち。女性から人気が出たのもわかる。
美川憲一の「お金をちょうだい」。1971年リリースだが、NHKではそのタイトルのインパクトから放送禁止となった。「お金をちょうだい」のタイトルのどこが悪いのか今ひとつ理解できないけど。
以前紹介した大友裕子「手切れ金」と歌詞の内容が似ている。
作詞は星野哲郎。
「別れる前にお金をちょうだい あなたの暮らしにひびかない程度のお金でいいわ」
「あとはひとりでなんとかするわ」
という結構胸に響く歌。
松原留美子。
1981年、六本木のイメージポスターのモデルとして起用され注目を集めたが、のちに男性であることが発覚した。その美貌から、新しい概念「ニューハーフ」が生まれたとか。
歌、うまいなー。
「ニューハーフ」という言葉は桑田佳祐が発端説もあるが、本人は否定しているという。
ゲイ・ボーイやシスター・ボーイ、Mr.レディーという呼び方もあったなあ。
他にも日出郎とか美輪明宏とか触れるべき人は沢山いる。佐良直美は?と思ったけど、本人は違う、嵌められたと言っているらしい。そうだったのか。
以上。
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