銀河の逃避行

今、万感の思いを乗せて汽車が行く

「昭和40年男」の「俺たちど根性世代」特集、根性についての私語り。

コンビニに「昭和40年男」という雑誌が並んでいたので買ってみた。

 

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昭和40年男 4月号

 

 「俺たちど根性世代」というコピーが目を引いた。

根性か…。すっかりアナクロな響きとなってしまった。

私自身、この根性という言葉に踊らされた時期もないではない。

漫画の影響は大きいと思う。

幼い頃、週刊少年ジャンプを読んで、とにかく体がボロボロになるまでの鍛錬や忍耐を通して勝利や成長をつかむ、という方程式がだいたいどの漫画にも忍ばせてあった。

DRAGON BALL 全42巻・全巻セット (ジャンプコミックス)

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  • 作者:鳥山 明
  • 発売日: 2009/05/15
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その末に、とにかく根性で頑張れば良い結果が待っている、という精神論が育まれていったが、受験戦争や就職氷河期、就職しても低賃金で一向に良くならない暮らし向きなど、高い壁に何度もぶつかるたびに、あれ?私はこんなに頑張ってるのになぜ?と思った。

そのうち、私の心の中で幅を利かせていた根性論はなりを潜めていき、代わりに、いかに楽に生きるか、というのが大きなテーマになったのはつい最近のことだ。

 

根性、頑張る、自己犠牲などの概念が物語の世界で美しく尊いものとして描かれるのは、それがすごく解りやすいからだ。

しかし、現実の世の中は、ひと一人の踏ん張りなんかよりももっと大きな見えざる手がすっぽり包んでおり、個人がいくら頑張ったからといって頑張っただけの報酬がある、とはならない。複雑怪奇な仕組みがいくつも絡み合って、手元にはわずかな小銭が残るだけである。見えない大きな手がピンハネしているのだ。

見えざる大きな手、それは政治かもしれないし、運かもしれないし、時代かもしれないし、世代かもしれないし、性別かもしれないし、年齢かもしれないし、人種かもしれないし、生まれかもしれないし、とにかくなんともつかない得体の知れないものだ。

 

そんな不気味なものに「努力」や「根性」の言葉を胸に徒手空拳で立ち向かっていったところで、大きな手にデコピンされて弾かれるだけだ。

 

だからと言って、私を育んできた漫画を否定するつもりは毛頭ないが、「努力」「根性」という言葉に陶酔していた時期、そして反動として「根性」を忌み嫌う時期があり、そして今の立ち位置は、ファンタジーとしての「根性」はありかな、と思っているところだ。

 

現実は複雑すぎて、根性だけで乗り切るのは無謀だが、根性で苦難を乗り越えるのは物語としては解りやすくて面白いのでアリ、というスタンス。解りやすいのが全てではないけど、解りやすくてスカッとする物語を欲する時はある。

 

その辺の区別をつけるのに何十年もかかってしまった。私が「あしたのジョー」に読みふけって触発されたように、全国に何万人も「真っ白な灰」になりたがる人がいたに違いない。あれは、物語だから楽しめるのだ。

 

 

 

別に「真っ白な灰」を目指して人生を歩んでもいい。それが自分に合ってさえいるのなら、と思う。自分をどれだけ知ることができるか、が鍵だと思う。

 

私は定時で仕事を終えて帰りたいから、効率を重視するし、嫌な気持ちを家に持ち帰りたくないから、仕事上の付き合いの人とは適切な距離を置く。とにかく余暇を大事にする、ということに重きを置いている。そしてその態度が自分に合っている、と今は気付けている。仕事をしている時が充実していて輝いている、という人は存分に仕事に励めばいい。人は人。私は私。

 

気持ちの赴くまま、私にとっての「楽」を追及する。これが私の生きる道だ。そうか、PUFFYがすでに教えてくれていたのか。

 

でもね、でも。「俺たちど根性世代」の特集の中で漫画「侍ジャイアンツ」が取り上げられているのだが、こんなセリフが紹介されている。

「有名になるために努力するのかい!?

金もうけのために努力するのかい!?

その保証がなけりゃやめるのかい!?

男の努力とは、サムライの戦いとは、そんなケチなもんじゃねえと思うぜ!!」

 

「根性」や「努力」を放棄した私でも、こんなセリフには胸が熱くなるのだ。

だからこそファンタジーの中の「ど根性」の魅力は捨てがたい。

 

他にも「ど根性ガエル」や「ガラスの仮面」、「ウルトラマンレオ」などアニメや特撮、「俺は男だ!」「どっこい大作」「柔道一直線」などのドラマ、マラソンの瀬古選手やプロ野球選手の愛甲猛などのインタビューがあり、面白く読めた。「カムバック芸人」として森脇健児のインタビューも乗っていたが、「努力する者、夢語る。サボる人間、グチ語る。ですよ」と名言ぽいことを言っていて、少しも刺さらなくて笑ってしまった。

あと、堀江美都子のインタビューが嬉しかったな。

 

昭和40年男 2020年4月号 [雑誌]

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  • 発売日: 2020/03/11
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では、最後に一曲。石川進による「ど根性ガエル」のライヴ音源。

あの調子っぱずれが耳に残る「ぴょこん、ぺたん、ぴったんこ」の絶妙な歌唱。そしてその後のワウを使ったひょうきんなギタープレイが素晴らしい。オリジナル音源で目立っている電子ピアノの音がないのがちょっと残念だが、いい演奏だ。

しかし声優の技術ってすごいな。


石川進 / ど根性ガエル OP

 

 

 

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ベスト・オブ・ベスト 堀江美都子

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