銀河の逃避行

今、万感の思いを乗せて汽車が行く

映画「ジュディ 虹の彼方に」でボロボロ泣いてきた。

※本稿は「ジュディ 虹の彼方に」のレビューで、ネタバレはないが、たとえネタバレしてても楽しめるタイプの作品ということを断っておく。

 

映画「ジュディ 虹の彼方に」が本日公開。早起きして公開日の一番早い上映を見に行ったのだが、新型肺炎の影響で映画館はガラガラ。

空いてて良いか、ぐらいの気持ちだったが、映画を見終えた後にガラガラで本当に良かった、と思った。嗚咽をあげんばかりに泣いてしまったからだ。

気持ちが沈むくらい悲劇的なジュディ・ガーランドの晩年を描いた映画なのだが、観た後にスカッとした気持ちになるのは、やっぱり歌声がハートを貫いたから。

 

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映画 「ジュディ 虹の彼方に」

 

超がつくくらい魅力的な歌とパフォーマンスは、時代は違うけどマイケル・ジャクソン級のジュディ・ガーランドだから、正直主演俳優がどれだけ頑張ったところで、それははるか遠く及ばないものになるのではという思いはあった。

 

映画が始まってしばらく歌のシーンはお預けで、早く歌を聞きたい、という思いがいっぱい募る。ジュディ・ガーランドに扮する主演のレネー・ゼルウィガーの立ち振る舞いがかなりジュディ・ガーランドに似ていて、それもかなり楽しめる。

 

で、30分くらい経ったかな?歌うシーンがようやく来るのだけど、曲は「バイ・マイセルフ」で、静かに立ち上がって、後半で一気に盛り上がるタイプの曲。声は似てない、それは別人だから仕方のないことだけど、あまりに静かな立ち上がりに、大丈夫か?と不安に思うのは一瞬。

 

呑み込まれた。

 

だんだんとジュディが本来のパフォーマンスを取り戻していく、というレネー・ゼルウィガーの演技だった。歌のパワーが物凄い。圧倒。よくぞここまで。

 

最初の歌の4分間で、オーエスワンの補給が必要なのでは?と場違いに麦わら帽子の所さんの顔がよぎるくらいボロボロ泣いてしまった。

 

レネー・ゼルウィガーは、1年くらい歌のトレーニングをして、4ヶ月リハーサルをこなし、その間ずっとジュディ・ガーランドの映像や音楽に触れていたとのことで、かなり魂がこもっている。歩き方とか、笑い方とか、歌う時の体の動かし方とか、いちいち似ていて感動してしまう。

 

正直に告白すると、レネー演じるジュディが、元気が出るTVに出た時の清川虹子に見える瞬間が何回かあったのだが、それは隅に追いやっておこう。

映画をこれから観る人は見ないほうがいいと思うけど、一応。清川虹子高田純次の爆笑のからみを貼っておこう。


高田純次

 

 

救いのないストーリーで、観客はジュディの心の浮き沈みに付き合っていかなければならないんだけど、すごいステージパフォーマンスが間に挟みこまれたり、少女時代の回想シーンがあったり(少女ジュディがこれまた似ていた、ミッキー・ルーニーはハンサムすぎる気がしたけど)で、程よくユーモアも挟んで、テンポよく話は進んでいく。2時間あっという間。

 

4、5回はボロ泣きする箇所があったかな。感服。

 

ジュディ・ガーランドの映画にハマったのは10年以上前。伝記本や残された映像でジュディのことは断片的に知っていたけど、この映画のおかげでピースが繋がって、私のジュディ像にリアリティがもたらされた。

 

どんな人でも楽しめる映画になっていると思うけど、特に生きづらさを感じている人にはぴったりくる映画なのではと思うのでおすすめしたい。

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レネー・ゼルウィガー演じるジュディ・ガーランド

日本ではジュディ・ガーランドはそれほど知られた存在ではないかもしれない。映画を観る前にいくつかの知識を仕入れておいた方がより映画を深く楽しめると思う。

 

ジュディ・ガーランドは、主題歌の「虹の彼方に」も有名な1939年の映画、「オズの魔法使」で16歳で主演を務めた。ジュディは太りやすい体質だったため、「ベンゼドリン」という覚醒作用と食欲減退効果のあるドラッグを飲むことを勧められる。いわゆる覚せい剤だ。

ドラッグで過酷な撮影スケジュールを乗り切り、終えた後は今度は睡眠薬を服用して無理やり眠った。

そのうちこれにアルコールが加わり、次第に情緒不安定となっていき、ジュディは撮影に来なかったりトラブルが目立つようになって、1950年にMGMを解雇される。

 

・MGMという映画会社、ライオンが吠えるロゴマークでおなじみだが、ミュージカル黄金期に素晴らしい作品を次々と生み出した。有名どころで言えば、「雨に唄えば」、「アニーよ銃をとれ」「ブロードウェイ・メドレー」などなど。ミュージカル映画じゃないけど、「風と共に去りぬ」「ドクトル・ジバコ」「ベン・ハー」なども。とにかく巨大な映画製作・配給会社。

「ジュディ 虹の彼方に」では、そのMGMのM、ルイス・B・メイヤーが回想シーンで登場する。彼は人材育成のために厳しくプライベートを管理することでも有名で、ジュディもその管理の下にあった。今の時代じゃ完璧アウトな、あらゆる管理を受ける。

 

ジュディ・ガーランドは5回結婚する。子供は3人。一人は2番目の夫である映画監督ヴィンセント・ミネリとの間に生まれたライザ・ミネリ。今回の映画にもちょこっと登場。

あとの二人は、3人目の夫シド・ラフトとの間にできた子。シド・ラフトは、ジュディがトラブル続きでMGMを解雇になった後、俳優としてカムバックした映画「スタア誕生」のプロデュースをした人物。この子たちの存在が今回の映画のキーとなっている。

 

・カムバック作「スタア誕生」は絶賛されたが、アカデミー賞は逃す。頻繁にトラブルを起こすジュディを快く思わない関係者が妨害工作をしたとの説がある。

 

・その後ジュディはライブ活動を行うようになる。これは観客に熱狂的に迎えられた。1961年リリースの「ジュディ・アット・カーネギー・ホール」では、ものすごい熱量のパフォーマンスが聴ける。伝説のライブ録音で、未だに売れ続けているとか。私の家の棚にもある。ふふふ。

 

・1963年から初のTVレギュラー番組を持つ。「ジュディ・ガーランド・ショウ」。これYOUTUBEにたくさんあるので是非見て欲しい。すごいから。

しかし視聴率が伸びず、半年で打ち切りに。ショックで薬物への依存が増し、コンサートも乱調が目立つようになる。加えて金銭感覚も無く、子供2人を抱えながらの生活は大波乱。

 

…と言うところから映画が始まる。

 

補足情報として、

ジュディ・ガーランドはLGBTQのコミュニティの中でアイコンとなっている。

去年の紅白歌合戦で、ミーシャがたくさんのドラァグ・クイーンたちとレインボーフラッグを掲げてパフォーマンスをした姿は記憶に新しいが、レインボーはLGBTQの運動、性の多様性を象徴するカラーで、元々はジュディの「オーバー・ザ・レインボー」から来ている。

ジュディは特にゲイの人々に支持されており、それはジュディが抑圧に立ち向かい自分を解放してきたことに共感したからである。また、ジュディがバイセクシャルであった、ということもあるらしい。

 

駆け足で、映画以前のジュディの足跡を追ってきた。あとは映画館でご自分のお目目でご確認を。私は素晴らしい映画体験ができたし、ジュディ愛が一層深まった。

 


Judy Garland, Born In A Trunk

 

 ジュディ・ガーランド活動を始めたい方は、映画「イースター・パレード」、CD「ベスト・オブ・ジュディ・ガーランド」からがオススメだ。

 

 

 


 


 


 

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