100年単位の時間を経て、尚聴かれている曲、というのも考えたらすごいものだ。クラシック(古典)、というジャンルの総称もいい加減で大雑把すぎるネーミングだけど、この分野に全然明るくなくて、現在のクラッシック音楽の最先端てどうなっているのだろう、と考えることがある。
本当に古典のみを再現して、表現力や芸術点の高さ、新しい解釈で評価されるようなジャンルなのか、それとも現代音楽としての新作がコンスタントに発表されるようなホットでラジカルなジャンルなのか。古典もやりつつ新作も作られる、落語みたいなものなのか。
まあ、考えてみても分からない。モーツァルトやベートーベンなど偉大な古典の壁を超えるのがいかに難しいかはよくわかるし。でもクラシック最新作大ヒット!みたいなのが今の時代に生まれたら面白い気がする。
さて、そんな誰もが触れたことがあるようなクラシック音楽をモチーフにしたり、下敷きにしたり、こすったり、パロディにしたり、昭和の歌謡曲界もアイデアをクラッシック音楽に求めているケースは少なからずある。
そんなクラシックにインスパイアされた歌謡曲を今回は鑑賞していきたい。
この曲が、クラッシック・モチーフ曲で一番有名にして成功した歌謡曲と言えるかもしれない。ザ・ピーナッツの「情熱の花」。
ベートーベンの「エリーゼのために」が下敷きになっている。ただ、これはアメリカのザ・フラタニティ・ブラザーズというグループがもともと歌っていたものを、ヨーロッパのカテリーナ・ヴァレンテという歌手がカバーし、さらにそれをザ・ピーナッツがカバーした、孫カバー曲だ。編曲は宮川泰。
で、同じく「エリーゼのために」を、今度はロケンロールに編曲したのが元ブルコメの井上大輔。ザ・ヴィーナスの「キッスは目にして!」。
1981年リリース。ほほう、ザ・ヴィーナスのヴォーカルのコニーは、スクールメイツ出身なのか。
お次はGSから。1枚しかシングルを出していないデュオ、ザ・ジェット・ブラザーズ。
イントロがグリークの「ピアノ・コンチェルト」である。
イントロの後は、ジャラーン、とエレキが鳴って、GSにありがちな泣きメロ歌謡ナンバーへと突入。グリークからジェットの勢いでつっこみが入りそうだが、結構ドラムが叩いているので私は好きな曲だ。ザ・ジェット・ブラザーズの片方はのちにガレージR&Bグループのボルテイジに加入する。
同じくGS関連。
麻生レミは、フラワーズ(のちにフラワー・トラベリン・バンドとなる)というGSのボーカル。和製ジャニス・ジョプリンと言われていたとか。1962年にソロでデビューした当時は麻生京子と名乗っていた。そのデビュー曲がこちら「ハンガリア・ロック」。
麻生京子 ハンガリア・ロック 1962 / Franz List Twist
曲名の下に「Franz List Twist」と記載されているように、フランツ・リストの「愛の夢」をツイストにアレンジしたもの。作詞はあの漣健児。
ちなみにリストの愛の夢はこちら。
最初に「ハンガリア・ロック」を聞いた時、女子高生みたいに「エモいなー」と思ったが、リストとは気づかなかった。歌詞がいいよね。ダンスパーティー向き。
次はハチャトリアンの「剣の舞」にそのまま日本語詩をつけちゃった曲。
小学生の時音楽の授業で聞かされた覚えがある。小学生にもわかりやすい、インパクトの強いスーパー・キャッチーな曲だ。
だからと言って、歌謡曲にして良かったのか、という作品がこちら。
「♪さす〜さす〜さす〜」
さすがにハチャトリアンに刺されそうな気がする。
そうなったとしても、誰のせいでもありゃしない。
富田靖子が歌うこの歌は主題歌ということになっており、エンディングロールの際流れるのだが、DVD版では、この富田靖子の曲かインストの「別れの歌」かを選ぶ仕様になっている。大林監督はあまり富田靖子の曲を気に入ってないのだろうか?と疑ってしまうが、絶対富田靖子版の方がいいと断言する。多分ショパンもそういうだろう。
以上、探したり思い出そうとしたりしたけど、あまりモロにクラシックの曲をベースにしている歌謡曲って思ったほどザクザク出てこない。まあ、作曲するお金が入ってこないから、やらないだけかもしれない。
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