みんなビートルズが好きだし、歌いたい。
日本の歌謡界にはビートルズのカヴァーが数多く存在する。
そんな中でも素晴らしい出来のカヴァーをご紹介。
「或る日突然」のヒットで知られる歌謡デュオ「トワ・エ・モワ」が初のロサンゼルス録音に挑んだアルバム、「トワ・エ・モワ・イン・USA」という素晴らしいアルバムがある。その中の1曲なのだが、
凄腕スタジオ・ミュージシャンが演奏する「アクロス・ザ・ユニバース」のグルーヴが恐ろしいことになっている。ドラマー、イントロから演奏楽しみすぎだろう、マシンガンのような3連タム回し。
すごくハッピーなサウンド。ブラス・アレンジも素晴らしい。トランペットがうわずる箇所があるけど、私、個人的にはトランペットがうわずってしまっちゃった録音、大好き。
大場久美子もビートルズを歌っている。サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド〜ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズのメドレーのカバーを、時代が時代だけに、フュージョン/クロス・オーバーの編曲で演奏している(編曲は萩田光雄)。
演奏がキメッキメでかっこいいが、そこに大場久美子のふにゃっふにゃの歌が乗る、というミスマッチングを楽しみたいところだ。
「サージェント・ペッパーズ〜」が終わったら、テンポが落ちて「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ〜」になるのかと思ったら、高速「ウィズ・ア・リトル・ヘルプ〜」が展開。
ステージに立つ大場久美子とそれを支えるファンの心模様を、それぞれの立場から描いた訳詩。もはや訳詩ではないけど。訳詩のクレジットが書いてないんだよなあ。誰だろう。
小山ルミ。マニア的人気の高い彼女も「ビートルズを歌う」という全曲日本語のビートルズ・カバー・アルバムをリリースしている。
“Come Together” (Beatles) Japanese covered by 小山ルミ
「変わってるのよ 私の彼は 乱れた髪に 汚れた顔 誰もが振り向く それでも愛しているのよ カム・トゥゲザー 恋は魔物」
「言葉じゃないの 身なりじゃないの 恋に決まりなんてないわ 心が通えば 私は一番 幸せ カム・トゥゲザー 恋は魔物」
すごいグッとくる訳詩。恋は魔物、てフレーズもいいね。
歌も演奏もグルーヴしてて素晴らしい。
松岡計井子は、1970年代から20年もの間、ひたすらビートルズを歌い続けてきた歌手。ビートルズを日本語で歌う歌手、と言ったらこの人がまず浮かぶ。自分の戦争、被爆体験をビートルズに重ね合わせる反原爆メッセージも発信している。
間奏のヘヴィなギター・ソロがカッコいいなあ。誰が弾いているんだろう。
最後はコミック・ソング好きの大瀧詠一の手による、音頭のリズムを使った奇ビートルズ・カヴァー。民謡歌手、金沢明子をフィーチャリングしたコブシが回る回る珍品。
金沢明子はこの話をもらった時に、ビートルズの歌をカヴァーするということで英語の発音を練習したらしい。松本隆によるひょうきんな訳詩が付いているとは思っていなかったのだろう。
最初は山田邦子に歌い手の白羽の矢が立ったらしいが、もしクニちゃんが歌ってたら、と想像するのも面白い。やまだかつてないコミックソングになっただろう。
全部、ファブ4本人に聴かせて反応を見たいカヴァーばかり。ジョンやジョージも空の上で喜ぶことだろう。以上。