銀河の逃避行

今、万感の思いを乗せて汽車が行く

九份、呼んでいるのはカオナシかゲンセンカン主人か。

九份へ。


まず腹ごしらえ。海老を紹興酒で蒸す料理が出てきた。

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専用の四角い蒸し器で蒸すのだが、テーブルの上、目の前でやってくれる。予めアツアツに焼かれた石が箱の底に入っており、エビ入れて、紹興酒入れて、すぐさま蓋を閉める。

 

蓋の間から漏れる蒸気。紹興酒の香りを初めて嗅いだ…。アレ…?時折台湾料理から香る、ちょっと苦手な香りだ…。

 

ははーん、なるほど、敵は八角だけではなかったのだ。紹興酒八角とのコラボレーションなのか。どうかな?と思いつつたべたが、エビ自体には紹興酒の香りは移っておらず、普通の蒸しエビだった。

 

九份はかつてゴールドラッシュで賑わった街だ。

19世紀末に金鉱が発見され、街は栄えたが、次第に金が枯渇してとれなくなって1971年に閉山。

街がさびれ、若者が去っていった。

 

再び九份がスポットライトを浴びたのは、1989年。

侯孝賢監督による「悲情城市」という九份を舞台としたニ・ニ六事件を扱った映画で、台湾で一大ブームとなった。街おこしをして観光客を呼び込んでいき、台湾を代表する観光地化に成功。

 

そして宮崎駿監督のアニメーション映画、「千と千尋の神隠し」のロケーションのモチーフになったという噂で、さらに人気に火がついた。実際は違うらしいけど。

 

かなりユニークな歴史を持っている。古いものを古いからと壊すのはダメね。日本ではかっこいい建築がどんどん姿を消していっている。

 


さて、前述の通り、九份はかなり観光地化が進んでおり、土産物屋や喫茶店などがぎゅうぎゅうと軒を連ねている。メインの階段の両脇もお店で埋まっている。

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まあ、雰囲気もへったくれもない店もたくさんあるし、そこここのお店からジブリ・ミュージックが流れてきたりするが、それは観光地化した土地の宿命だ。

 


だが、やはり山の斜面を利用した古い街は、不可思議なオーラをまとっており、暗い路地、狭い階段、赤く灯る提灯や街灯の光が異世界感を醸し出す。

 

これは捨て置けない、とばしゃばしゃ写真を撮って回った。階段の上り下りと興奮で、身体がすっかりのぼせあがってしまった。

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メインロードから少し外れると、この通りだ。強い光の街灯と暗がりのコントラスト。闇から浮き上がるくたびれた通路や階段。私にとってはこの雰囲気は、ジブリというよりはつげ義春

 

あてられた。確かに特異な場所だ。

 

ここは、行ってよかった。

 

 

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