銀河の逃避行

今、万感の思いを乗せて汽車が行く

釈迦頭と山本頭。アミ族の舞踊ショウ。

台湾3日目、後半戦。

台東郷土料理屋で昼食。口に合うものと合わないものを見た目で判別するのが難しい。せめて料理名が分かると嬉しいが。

 


例えば、これ(写真手前)なんかとても可愛らしくて無害そうな料理だが、

f:id:ruthetting:20200211234347j:image


私は「匂いの癖が強すぎるシナチク」、父はもっとひどくて「昨日嗅いだ公衆便所」と形容した。他国の料理に対して敬意を欠いているが、外人が納豆を足の裏の匂い、と言うようなものだろう。

 


人は記憶にない味を、記憶の中で最も近い味や匂いで表現する。そういえば、昨日食べた里芋の揚げ物は、ハイターの匂いに近い、と感じた。悪い風に結びついちゃうと、二口目はかじれない。

 

 

 

錯覚で水が坂を登っていくように見えると言う「水往上流」へ。これと同じのを日本で見たことある。遊園地にあるびっくりハウスみたいなもんだ。違うか。

 


釈迦頭というフルーツが売っていたので、食べてみた。柿?あけび?西洋梨?近い味がこれだけ浮かぶ。果肉がクリーミーでうまい。これはおすすめだ。お釈迦様の頭頂部のハッチを開けてスプーンで食す。

f:id:ruthetting:20200211234531j:image

 


お釈迦さまの頭に似ているのが名前の由来だし、インディ・ジョーンズの猿の脳みそのシーンを思い出す食べ方だ。

 

釈迦頭を改良したもので、アテモヤというのもある。

 


父にふざけて「♪アテモヤ〜ん」と、「おてもやん」の替え歌を歌ったが、あまり受けなかった。

 

町の床屋さんに「山本頭」というメニューを見かける。これは丸坊主カットのことだ。山本五十六が名前の由来。適当なこと言うけど、多分五十六という数字の名前がイカすから流行ったんじゃないか。こおろぎ73みたいなことだろう?(違う)


三仙台。

f:id:ruthetting:20200211234935j:image

まさか浜で時間を過ごす時間があるとは思わなかった。潮風が心地よい。田舎生まれなので、いい空気を吸うと生き返る。

 

台湾はPM2.5が濃いのか、ここ3日で鼻毛が2.5ミリくらい伸びたような気がする。

 


海岸沿いをバスで移動する。十字架のついたお墓が所々に見られる。添乗員さんによれば、昔アメリカやカナダの宣教師たちが布教に来て、小麦粉や食用油などを海辺の原住民に配って回ったらしい。

 


原住民たちは貧乏だったし、タダで貰っちゃ悪いと思ってほいほい洗礼を受けた。

 


原住民といえば、卑南族という部族出身の歌手が台湾はおろか中国でも大人気らしい。「阿妹」という名前で、日本で言うところの安室奈美恵に例えられる。YouTubeでチラッと拝見してみたが、中々かっこよい。

https://youtu.be/sI0zr5aqdTM


しばらく同じような景色が続くので、イヤホンで大貫妙子を聴く。「荒涼」。車窓の外には本当に荒涼とした景色が。

f:id:ruthetting:20200212000157j:image

「♪風が泣いてる」なんて歌われたら、なんか泣きそうになった。目の前の景色と音楽がばっちりシンクロすると泣きたくなるクセがある。

 


そして、大貫妙子はいつだって正解…!

 


原住民のひとつ、アミ族の伝統舞踊を観にアミ族文化村へ。六角形のステージ延長線上に客席が500以上あるかな、エレキベースの低音が効いた民族音楽らしきものがスピーカーから流れている。Shazamにかけてみたが、曲名は判明せず。

f:id:ruthetting:20200211235152j:image


アミ族の赤を基調とした民族衣装に身を包んだ女の子がマイク越しにスピーチする。中国語と日本語の両方で。アミ族にはアミ族の言語があるだろうに、よほど練習したに違いない。

 


日本語の手本はデパートガールだったのか?デパートの館内放送みたいなアクセントだ。

 


舞踏はかなりショウアップされていた。色とりどりのライティングの中、赤に身を包んだ女性たちが舞う。男たちは上半身裸で、アクロバティックな技も披露する。

f:id:ruthetting:20200211235248j:image

 

f:id:ruthetting:20200211235317j:image


音楽は現代風のウーファーの効いた民族音楽、のようなもの。出し物によっては古い中国語の歌謡曲?が流れたりする。オケに合わせた太鼓は生演奏で、女性ツインボーカル。どちらもマイクを通して音を増幅させている。

 


バンブーダンスでは何人もの踊り子が、開いて閉じる竹と竹の間をリズムに乗って器用に踊り抜ける。

f:id:ruthetting:20200211235404j:image


結婚のお祝いの舞では、シャーマン役の女性が、グレート・ムタのように口から霧吹きを十数回行う。客は口の中のどこにあの量の液体をしまっているんだ?と不思議に思う。まるでマジックのようだ…。

 


…。

 

 

 

多分、多分だけど、皆が求める民族舞踊ショウってこういうことじゃないような気がしないでもない。

 


かがり火のぱちぱち言う中、音響機器を通さない、本当に生の太鼓の音、原色の衣装の女性たちの歌声の合間に男たちの野太い合いの手の声、素朴だけど野性味あふれ、喜びやお祝いなど、固有の意味を持つ舞。原始の祭り。祈りの声。

 


勝手な思いだけど、そういうものを客は求めているような気がする。

 


だが、これは本当に身勝手な話だし、ただの幻想だ。そして、彼らが大変な訓練をこなしてショウの舞台に立っているのは見てれば分かる。

 


ショウとしては途中で飽きたりしなかったし、十分楽しめた。彼らの訓練の賜物だ。

 


客が舞台に手招きされ、踊りに加わるようジェスチャーを受ける。私もアミ族の女性に手を引かれて舞台に立ち、アミ族の頭飾りをかぶせられ、皆んなで手を繋いで踊り、大団円…!踊り子たちとポラロイドカメラで記念撮影!waになって踊ろう!ああ、素敵じゃないか…!

 

 

 

 


音楽が鳴り止み、輪になって踊った皆んな笑顔でニッコニコ。アミ族の女の子がひとり私に近寄ってこう言った。

 


「ポラロイド、一枚400元ネ。」

 

 

 

 

 

www.ruth-etting.com